『鏡の背面』 篠田節子著
長編サスペンス小説。
物語は、
薬物依存症や自傷行為、
DV被害を執拗に
受けてきた女性たちが、
暮らす「聖アグネス寮」。
ある日
その寮が、火災で全焼する。
寮を私財で設立した、
マザー・テレサのような
優しい先生が、その火災で焼死する。
しかし、遺体を鑑定をすると
焼死したのは、全くの別人だった。
今、
社会問題化している、
いじめや親を介護している子たち。
社会から疎外された女性たちが、
そうなった訳を語りながら
物語は進んでいく。
読後の私的な感想として
人は、心の「表面と内面」がある。
人は、必ず心の二面性を持っている。
その二面性を理性や良識によって
コントロールしている。
その歯車が、狂うと
如何なる人でも
とんでもなく恐ろしいことになる。
そんなことを考えてしまった。
ちょっと変わった余韻の残る小説だった。